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第97話 現代葬儀事情IV

    親族や同朋や近隣が、相互互助の分かち合いの精神で営まれていた祭事は、業者と呼ばれる商売の専門家によって運営されるようになり、本来の姿を見えなくするほどにその意識や形式は、過激に変化を遂げた。

   元々業者は存在したが、彼等は慎ましく葬家の補佐として陰に徹し、急な取り込みを支え、檀家と寺の要望を見事に捌いた。

   しかし、現代の業者は、全くの葬儀そのものの仕組みを知らずに、儀式のカタカナ語「セレモニー」的発想で、ただのお別れ式(元からの業者も遅ればせながら変身をしたが)を商売に優先し、業界に侵入し始めた。

   このことは、寺院や葬家中心型の葬儀形態を、根本から覆し、業者指導型へと変身させ、その根底にあった大事な宗教心や仏教の法儀を無視する結果となった。

   一つの例は、遺体を安置する霊棺である。曾て自宅葬が執行されていた時は、部屋が狭い場合でも、柩は祭壇の後方に安置された。この場合は廻りに供花や供物をおくと、一旦設けた祭壇を解かないかぎり、遺体には対面はできないという欠点はあったが、何故祭壇を飾るかの意義があった。

   しかし、ホールの式次は葬儀終了後即夕べには他家の通夜執行のため、祭壇を解く必要を時間と合理性を重要視し取りやめ、祭壇の前に柩を安置するという不思議に変わった。

   同時に、医療の進歩が臨終の形態も変え、親族が遺体と対面する場が通夜葬儀の会場に変わり、霊棺の蓋に窓が空いた。

at 13:11, houwa-sugano, ちょっといい話

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